亀戸アートセンターでは東春予「実験漫画コミックはミュージックのようにvol.2」を開催いたします。

東春予は、漫画のストーリー性を全て排し、表現形式を拡大したり再構成したりと漫画のもつ時制や時間の切り取り方に重きを置いた表現を追求しています。

本展は、シンガーソングライター内村イタル「永遠」の楽曲をもとに制作した作品 (3月京都の個展で発表した作品) と2階はバンドPaper Peopleの楽曲「流れ星」をもとに制作したキャンバス作品を展示いたします。

今回、9/7(土)から金柑画廊にて開催されるエヴァ・ユウ「スーベニア・ステイト」と連動して、トークイベントを開催いたします。エヴァ・ユウは、コミックや印刷物の持つグラフィックなイメージとそこに流れている時間を反映させるような作品を制作しているフィリピン・マニラを拠点において活動しているアーティストです。二人は同世代でもあり、日本・フィリピンと違う背景を持ちながら、同じくコミックから影響を受けてそれぞれのフィルターを通して作品を展開しています。彼女たちの眼差しを通して見えてくる今の日本とフィリピンを感じる機会でもあると思います。それぞれの作品を一部連動して展示いたしますので、この機会に是非ご高覧ください。

「実験漫画コミックはミュージックのようにvol.2」

漫画を壁いっぱいに拡大し、一コマ一コマにタイトルを付ける、という形態で作品を制作している。

漫画のコマはその中の時間、ある一瞬をそれそのものとして保護する装置である。仮に、紙媒体の漫画からある一コマを切り抜いて壁に貼れば、それはストーリーの構成物という位置付けから抜け出して、単なる絵、それそのものになる。過去も未来もないある一点として、そのコマの中の時間は永遠に保たれ、過去・現在・未来の時間軸から解放される。連ねられた全ての現在がそれそのものとして同列に保護される。連なりながらもストーリーにされるのを抗う瞬間、個々が個々の為だけにある瞬間、その連続として初めて成り立つ漫画の表現形式を提示している。

今回は、バンド、Paper Peopleの楽曲をもとにナンセンス漫画を制作し、且つ、作曲者に展示場でその曲を演奏してもらう。曲をワンフレーズごとにビジュアル化することで、彼らが瞬間を連ねて作る演奏を、個々の瞬間のままに保護する。彼らは瞬間を連ね、曲としてのうねりを作る。私はその瞬間の連なりに対し垂直に、永遠性を打ち付ける。(東春予)

2019.08

東春予「実験漫画 コミックはミュージックのようにvol.2」

東春予「実験漫画コミックはミュージックのようにvol.2」